きまぐれレビュー  No.088 きまぐれレビュー表紙へ
展示品は手塗りサンプルです TOPへ
・THE バスコレクション 走行システム Mercedes-Benz CITARO G
・ワールドバスコレクション(欧州モデル)Mercedes-Benz CITARO O530



発売日:2016年11月17日:国内向け走行システム(1/150 連節バス)/一般流通
     2016年4〜5月頃:欧州モデル発売。当初は日本国内の流通は無し
     2018年1月4日:WORLDバスコレクションシリーズ各種がTOMIX WORLD(TEC Station大宮)にて取り扱い(現在閉鎖)
     2019年3月23日:WORLDバスコレクションの車両単品のみ日本国内一般流通化
品 番:B-L1 / BM-007・B-L2 / BM-008(国内向け走行システム)   WB004〜WB007(欧州車両)
価 格:13,824円(走行システム)・169.00EUR(欧州/ベーシックセット) 24,29EUR(欧州/車両単品) 79.99EUR(欧州/動力ユニット)


初版アップ:2017年01月25日
WB007の作り分けとプロトタイプについて修正:2017年01月27日
欧州向けモデルのTEC Staton大宮での取り扱い開始に伴い一部記載変更と追記:2018年02月18日



実車の世界でも有無を言わせぬ存在感を放つ連節バス〜バスコレクションでもその存在感に変わり無し!
Mercedes-Benz Citaroの製品化については、ワールドバスコレクションとして欧州モデルの発売が先にニュースとしてもたらされた事もあり、1/160且つ単車で製品化とアナウンスされた時には日本国内モデルは難しいかと勝手に思っておりました。 それがきっちり1/150で製品化されたこと、たまたま神奈川中央交通エリアに住んでいる事も手伝って個人的には正に朗報となったのでした。

ただ、今のところ車両単品では購入出来ない為、動力化や走行に興味がない向きには割高な感じを持ってしまうのも事実でしょう。 これについて模型ショー等にて担当の方にお話を伺えば、「欧州モデルも含めた動力ユニットの開発とリンクした企画であり、ライトの点灯化も含めた先駆的な製品」との事。これを信じるなら、当初から動力ユニットありきの企画→つまり動力ユニットの開発が無ければ発売されない車だった→故にセット販売致し方なし…は現時点では受け容れざるを得ないのかも知れません。 何時の日か車両単品で買える日が来る事を願うとして、先ずはどんな仕上がりなのか〜国内モデルを中心にワールドバスコレクション(欧州向け)も併せてレポートしてみました。

※ 同梱されている道路や走行関係についてはこのレポートでは省いています。取り急ぎ車両について取り上げました。
※ 世代の表現についてはこちらの記事に準じていますが、海外サイトでは2011年のモデルチェンジ前後で第1/第2世代と分けられている事が多いようです。
  第1世代初期型→中期型→後期型(最終型)→第2世代=「第1世代初期型→後期型→第2世代→新型」 「」内が当ページでの呼び方です。




品番:BM-007 神奈川中央交通 Twin-Liner(町田)

プロトタイプ 方向幕(LED標示) 車番 成型色 対応動力
Mercedes-Benz CITARO G
第2世代(2012年)
町13 急行 山崎団地センター ま203 セット付属専用品

2005年茅ヶ崎営業所に投入されたネオプランN、2007年に厚木営業所に投入されたMercedes-Benz CITARO Gに続き、2012年神奈川中央交通としては3例目となる連節バス(Twin-Liner)=町田営業所に所属する「ま203」号車がモデルとなっています。厚木車との外観の違いは窓下に入る反射帯(バスコレ製品的には白帯)の有無が目立つところですが、細かい所では重量に若干差がある関係でリアの表示にも違いがあったりします。
「ま201」〜「ま204」の4台が在籍し、町田バスセンター〜山崎団地センター線を中心に活躍しています。




品番:BM-008 神姫バス オレンジアロー 連 SANDA

プロトタイプ 方向幕(LED標示) 車番 成型色 対応動力
Mercedes-Benz CITARO G
第2世代(2013年)
急行43 センチュリープラザ けやき台3丁目
新三田駅
10001 セット付属専用品

2013年4月から三田市内の関西大学キャンパス線の他、工業団地や商業施設へ路線を中心に運行が開始されました。 公募により決定された愛称は、オレンジ色の車体(オレンジ)、未来に進む矢(アロー)、地域をつなぐ(連)、住みよい街三田(SANDA)から来ているそうです。10001・10002の2台が在籍。関西地区初の連節バスとなりました。





神奈川中央交通・神姫バス共にボディー・窓ガラス他全く同じ形態で作り分けはないようです。
前面方向幕は今時としては珍しく表面印刷となっています。取り付け用のツメの影響と思われます。

前面・後面についてはライトやテールランプを点灯させる為に、窓ガラス一体となったライトレンズの上にフロント/リアパネルがはめ込まれる構造になっており、こうして大写しにして画面上でチェックしてしまうと若干パネルラインが大袈裟に見えてしまう感は否めません。 とは言え、このような構造としてはかなり頑張っている方で、きちんと組まれている個体については現物を直視すればそうしたネガティブな印象は感じません。

プロポーションについては特にツッコミ処はないかな〜と言うよりそれほど見慣れた車でもないので詳しく語れないのが実際ではありますが、個人的な印象では文句なく「格好良い!」



側面も同一形態です。個人的に実測したデータと突き合わせると若干幌部分が長い印象ではありますが、実車採寸では駐車姿勢(完全に真っ直ぐになっているか否か)によって多少前後してしまう関係でこの数値については少々曖昧です。走行セットが前提では車体を曲げる為に可動部分に隙間が必要になりますが、これがディスプレイ専用とすると少し気になる感も。元の幌を切除して少し短い幌を3Dプリンタで製作→隙間を無くしてしまうのもアリ??〜と思い付きはしましたが、言うだけで実行に移せるかはかなり怪しい(汗

側面窓についてはフラッシュサーフェイス化されたボディーにも拘わらず、安直に透明一体ボディーにしないのは流石と言えます。 ただ、ドア部分がほんの僅か出っ張っているように見えてしまう事と、組み立て時にはめ込みが甘く(→この場合窓を押し付けてやると解決する)〜若しくはバリが影響して(→この場合窓を外してバリを取らないと解決しない)雨トイが歪んでしまっている個体が散見されるのは少し残念でした。 変な癖が付く前に…購入したら先ず窓のはめ込み具合をチェックしてみる事をお勧めします。(窓を外す際は細心の注意を)



部品構成はこんな感じです。
上でも触れましたが、前面/後面窓パーツとライト/テールレンズは透明一体パーツになっています。その透明パーツにフロント/リアパネルが丸い突起2つで組み合わされている格好になります。しかしこれが結構キツめに嵌っている上、透明パーツは少しの歪みで簡単にヒビが入る事もあり無暗に力を加える事も出来ず。1台1000円程度の製品なら兎も角、壊した時のサポートも怪しいジオコレではこれ以上の分解には躊躇します。 簡単にバラせないパーツ構成や、そもそもそうした個体が生まれる可能性がある構造は……やはりオーソドックスにライトレンズと窓ガラスを別パーツにして、ボディー側はライトの部分だけ穴が開く感じに構成出来なかったかなと、結局これに繋がってしまいます。きちんと組まれていれば問題ないのですけれども、、設計意図と現実の差が出てしまっているケースかと思います。

ボディーについては窓が大きく幌側に切り欠きがある関係で剛性が足りないのか、はたまた設計段階で内装パーツとボディー側の位置固定が緩いのか、特に後車の内装パーツが遊んで車高や左右の傾きが落ち着かない個体がありました。丁度撮影に使った神奈中もこの症状が出ており、二つ上の真横画像のように体勢を整えて撮影したつもりが少しのショックで傾いてしまいます。これは修理に出して直る性格のものではない為、重症の場合は極小さく刻んだ両面テープ等で要所を固定、とりあえずの応急対策としています。



とまぁ特に構造面で私個人の思うところとは少し違っていましたが、こうして並べれてしまえばそんなものはもう…
少しばかりの不満なぞ軽く吹っ飛びます^^;


 

上から俯瞰した絵。こちらも作り分けは無し。良い感じに出来ていると思います。
クーラー等屋根上機器は車体と一体成型で取り外しは出来ません。





こちらは欧州向けのワールドバスコレクションです。ラインナップは以下の通り。

Tomytec
主品番
FALLER
品番
個別品番 品 名 現地定価 TEC大宮・一般流通
価格
(税抜き)
#260356 #970356 - Operating Bus System Basic Set
Mercedes-Benz Citaro O530(Silber/Neutral)
169.00EUR 19,800円
※一般流通無し
#264545 #974545 WB004 Mercedes-Benz Citaro O530 Deutsche Bahn 24.29EUR 2,900円
#264576 #974576 WB005 Mercedes-Benz Citaro O530 Silber/Neutral 24.29EUR 2,900円
#264569 #974569 WB006 Mercedes-Benz Citaro O530 Schweizer Post PTT 24.29EUR 2,900円
#264552 #974552 WB007 Mercedes-Benz Citaro O530 Hamburger Verkehrs-Betriebe 24.29EUR 2,900円
#266297 #976297 WBM-L02 Mercedes-Benz Citaro O530 Bus Power Chassis 79.99EUR 9,000円
※一般流通無し

車両単品の他、国内の走行セットに相当する Operating Bus System Basic Set や、動力ユニット単品も用意されています。
セットにアソートされる車はWB005=Silber/Neutralの一種のみのようです。

発売当初は残念ながら日本国内での一般流通は無く、入手するには個人輸入又はそれに準じた形に頼るほかありませんでしたが、2018年1月4日よりTOMIX WORLD(TEC Station 大宮)にて購入する事が可能に、更に2019年3月23日より車両単品のみ国内一般流通化されました。



車両単品のパッケージは国内モデルで言うところの全国バスコレクションシリーズのそれと瓜二つ。台紙のデザインも地図が欧州中心になっている以外は全国バスコレと酷似しています。 表面にやたらmade in Chinaを示す無骨なステッカーが貼られているのはちょっと頂けない… FALLERの仕業??


裏面には動力ユニット組み込みの方法と、国内版走行システムと同じくDAIMLER AG.のホログラムライセンスシールが光っています。
一つだけライセンスシールが貼られていないものがあったのは内緒にしておこう、、 車体の下に同梱されているのは図解に出て来る導光パーツです。


品番:WB004 Deutsche Bahn(DB:ドイツ国鉄)

プロトタイプ 方向幕(LED標示) ナンバー 成型色 対応動力
Mercedes-Benz CITARO O530
第2世代
34 Hd Pfaffenggrund
U.Wieblingen
L.U. ET 650 WBM-L02


品番:WB005 Silber/Neutral (恐らくデモカーのような扱い。実際には存在しない可能性も)

プロトタイプ 方向幕(LED標示) ナンバー 成型色 対応動力
Mercedes-Benz CITARO O530
第2世代
CITARO CITARO WBM-L02


品番:WB006  Schweizer Post(PTT) (スイス / ポストバス)

プロトタイプ 方向幕(LED標示) ナンバー 成型色 対応動力
Mercedes-Benz CITARO O530
第2世代
4 Bahnhof
(日本語だとシンプルに「駅」もしかして架空?
GR.163696 WBM-L02


品番:WB007  Hamburger Verkehrs-Betriebe (HOCH BAHN / HVV-ハンブルグ交通連盟)

プロトタイプ 方向幕(LED標示) 車番(ナンバー) 成型色 対応動力
Mercedes-Benz CITARO O530
第2世代
23 METROBUS
U BILLSTEDT
1014
(HH YB 1014)
WBM-L02




プロトタイプは第2世代の CITARO(FL)=12mクラスです。
WB005・WB006はカバー付きのホイールを装備、WB007のみ前面パネルに違いがあります。 連節ではない単車である事、左ハンドル=ドアが右側面にある、スケールが1/160である事を除けば、基本造形や部品構成/構造は国内モデルと同じです。ドアが窓パーツ側に表現してある構造はバスコレクションとしては初となります。



WB007:Hamburger Verkehrs-Betriebeのみ前面パネルに凹みが無い第1世代後期型に準じた形になっています。
ただし、プロトタイプの1014号車は2010年製=第2世代である可能性が高そうなので、オプション等により単純に前面がフラットになった仕様なのかも知れません。 因みに、第1世代前期型(初代)の前面は、バンパーや車体角部が第1世代後期や第2世代より角張っていたり、前面パネルはもう少し逆富士山型と言いましょうか左右のラインが随分寝ている形状であったり、フォグランプが普通の角型(第2世代のような平行四辺形様ではない)と言った特徴があります。



ホイールについてはCITARO用に新規に起こされており、国産車向けのISO10穴ホイールとは形が異なります。国内向け=1/150と欧州向け=1/160も作り分けられ、それぞれで大きさが異なるのはご覧の通りです。 さらに、欧州向けモデルにはスリーポインテッドスターが刻印されたホイールカバー仕様も作られています。



ディスプレイ用シャシーを裏から。スケールが違うだけで基本ディティールは全く同じです。
走行セット付属車両の品番〜BMと数字の間に-(ハイフン)が付加されているのも今回の特徴です。



そして気になるスケールの違い。
1/10の差は侮れず。並べると親子のような…欧州モデルは国内モデルで言うところの長ーい中型車のような印象です。
拘りにもよるでしょうけれど、個人的には同列に並べるには無理がある、、かな。
こうして見ると、返す返すも1/150で作って頂けた事に感謝したいです。いや本当に。



国内版の動力ユニットについては、最初から導光ユニットが取り付けられており、そのままボディーを被せればOKです。
組み込んだ際に車輪がホイールアーチに干渉する場合は前車中程にあるネジを緩めて調整します。 組み込まれているホイールについては専用品ではなく国産車向けのISO10穴ホイールを履いています。神奈中向けの動力も銀ホイールですので、拘る向きはピンク色に塗装すると良いでしょう。

走行させる場合は動力軸の少し前にある小さなボタンをプッシュ。ここでよく「押したのに動かんぞ!」と思われる方もいらっしゃるようですが、通常ボタンを押してから約2秒程度間を置いてから動き出すようプログラムされていますので、焦ってポチポチやると電源が入り切りされて最悪何時まで経っても始動しない事があります。ボタンを押したら少し放置。 また、動いている状態で3秒以上長押しすると省電力モード(ライトは消灯・テールは減速時と停止時のみ点灯)に切り替わります。
バッテリー残量が少なくなると中扉付近にあるオレンジ色のLEDが点滅するので目安になります。充電は付属のMicroUSBーUSBケーブルを介してPC等と接続すればOK、充電中は画像のように赤いLEDが点灯します。

もう一つ、たまたま不具合があり交換に出した個体があったのですが、返送品に同梱されていた紙にこのような一文が…
「本製品の良好な走行状態を保つ為、こまめに充電をして頂きますようお願い申し上げます」
「3か月に一度充電を行って頂ければ幸いです」

…と記載されていました。リチウムイオン電池を過放電させるのは好ましくない〜買ってそのまま・走行させないからそのまま、ありがちですが(私も)、たまには引っ張り出して充電させましょう。説明書には記載されていない感じです。



ライト点灯の模様です。左は明るめの環境、右は暗めの環境下で撮影しています。
ヘッドライトレンズには地味にプロジェクターランプの丸いプリズムまでモールドされています。なかなかニクイ^^(左上参照)
テールの方は走行時は弱め、減速時/停止時は強く光るようプログラムされており、左下のように明るめの環境且つ走行時の状態では殆ど判らないです。室内を暗くすると走行時でもほわっと赤く光っている様子は認識出来ます。(強点灯時は未撮影)
また、前面側はLEDが上手く透過してとても良い感じになりますが、個体によっては方向幕周辺から光漏れがある事や、ライトレンズと窓が一体構造である事が影響して断面が僅かに光って見えてしまいます。ついでに言うと、窓パーツの角にあるゲートも何故ここに作った??と思われる場所にあり、切断が美しくない個体はここが光って悪目立ちしてしまいます。

やはりライトレンズと窓は別構成で作って欲しかった……とまたまた繋がってしまう訳ですが、前面はLED(方向幕)にも導光されている、つまり光対策の側面から改善しようとするとライトレンズのみならず前面窓も方向幕部分を分割する必要が出て来る訳です。となると部品点数が凄い事に。現状の構造になってしまう事情のようなものが薄っすら理解出来てしまったような……(設計は難しい





ざっとこんな感じでしょうか。

バスコレ製品として私が思うところをまとめると、セット販売故お値段がたまにキズ・構造面でツッコミどころはあるけれど、それらを覆すだけの存在感と何よりの格好良さ、総合して買って良かったと思えるバリューは十二分にある製品と感じました。
正直に書くと、ここ最近新製品が出ても触手が動く方が稀、うっかりすれば最近バスコレクションはなぁ〜何て愚痴る事も多くなっていたのも事実ですが、この製品だけでファンとしてまだ頑張れそうと思えた気がしました。

京成バス・岐阜バス・近江鉄道、更には動力ユニットを活用した他車種への応用(製品化)にも期待して……レポートを終わります。





これまで日本に輸入された連節バスは18mクラスの3軸車「CITARO G」で、イギリス仕様の右ハンドル車がベースとなっています。
こちらの公式アナウンスの表現を借りれば2006年に登場した第2世代に分類されるモデルとなるようです。 外観に余り変化が無く見分けが難しい同車ですが、判り易い所ではフロント周りの角張り具合やスリーポインテッドスター周辺の造作の違いで第1世代の前期/後期・第2世代と大体3種類の形態に分けられます。 また、2011年にはモデルチェンジが実施され、ホイールアーチ形状やリア回りなどエクステリアデザインに大きく手が入れられました。 ただ、これは左ハンドル仕様がターゲットである事から、その後日本に輸入された神奈川中央交通(町田)・神姫バス・近江鉄道についても従前通り第2世代がベースとなっています。従って現状国内で営業運行を行っているCITARO Gに新型車は居ません。 そんな折、右ハンドル仕様の新型CITARO Gが日本で発売されるとのニュースがつい先ごろ(昨年10月)飛び込んで来ました。 そう言えば、神奈中初代Twin-Linerが2005年とそろそろ代替えの時期=後継車がどうなるかは地元民として興味深い所でもありますし、このタイミングで営業を掛けて来た事に別に大きな意図があるのか〜その辺りもとても気になります。 明るい話題があると良いですね^^


■関連ページ

バスコレパーツ構成一覧表


■謝 辞

取材協力:カリスマ車掌R’様 B5101様 有難う御座いました。御礼申し上げます。




きまぐれレビュー表紙へ       展示品は手塗りサンプルです TOPへ


Copyright(C) 2017-2018 Mr.T All rights reserved