きまぐれレビュー  No.057
<THE バスコレクション 神奈中バスオリジナルバスセット2>
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  初売り:2013年02月02日 平塚市まちかど広場 特設会場
  品番:K093/K094  価格:1700円

  初版アップ:2013年03月29日



バスコレを買い始めて早10年、趣味に据えて早8年、私にとって待望の製品が発売されました。
前回の90周年セットでは車種的には少々肩透かしな感も否めませんでしたが、今回は「part.1発売時にご要望が多かった2車種を選んでみました」〜と言うだけの事はあり、これぞ(近代の)神奈中バスと言って過言ではないエアロスター兄弟が選択されました。 初めてこの企画を聞いた時は余りにド本命過ぎて逆にビックリしたくらい…(笑

こうなったら万難を排して臨むぞ! 地元にも拘らず前夜から同好らと共に出掛けて来ました。 かつては普段なかなか会えない仲間と示し合わせたり、遠方に出掛ける良いきっかけになったものですが、最近ではそんなお祭り状態もご無沙汰、久し振りに楽しいひと時となりました。 夜な夜な談義にお付き合い頂いた皆様、当日あの場に居合わせた多くの皆様、お疲れ様でした。 

さて、発売から大分遅れましたがレビューっぽいものを書いてみました。 このセットは私の中ではかなりのハイスコアを叩き出していますが、それでも毎日見ている地元バスだけに、一点・二点(三点以上?)シビアに感じたところも書いてあります。 あくまで私の主観ですので何時も通り斜め読み推奨です^^

※一部の画像はマウスを乗せると能書きが出ます。


品番K093 三菱(新呉羽)エアロスターK U-MP218M (標準尺・出っ張りバンパー)

プロトタイプは横浜営業所(固有記号:よ)に在籍した92年上期投入の「よ134」号車。 神奈中のエアロスターKの中では最終期に属する形態で、このバスのもう一世代後でエアロスターKの投入は終了しています。 地元の方には一人掛け座席の横に補助席が付いていた車と言えば恐らく通じるかと思いますが、小規模な貸切需要にも応えられる仕様となっておりました。 個人的なイメージでは、シートピッチがやたら広く、通常畳まれていた補助席が頃合の良いアームレストにもなる快適な車=「当たり」な車でした。 標準尺はもとより、出っ張りバンパーなど新規金型を随所に奢った製品となっています。

成型色 : 薄ベージュ / 方向幕 : 横64 関内駅 上大岡駅 港南区役所・笹下町 / 車番 : よ134
対応動力ユニット:BM-02 (使用するスペーサー:B2+R6+L6)



品番K094 三菱 (ニュー)エアロスター PKG-MP35UM (運賃幕付き前面窓・黒サッシ)

プロトタイプは伊勢原営業所(固有記号:い)に所属する2009年後期投入の「い67」号車。
この年の9月頃から投入された同型車はそれまでの銀色サッシを改め、前寄りに細い窓を追加した黒色サッシ+UVカットガラスを採用しています。 製品としては既存のパーツを中心に構成されていますが、前面窓パーツだけは神奈中の特徴=運賃支払い方式の表示機(※以下運賃幕と書きます)が表現された新規パーツが奢られ、側面窓パーツも既存品を改修の上使用しているようです。

成型色 : 薄ベージュ / 方向幕(LED表示) : 平90(中乗り) 伊勢原団地・伊勢原駅南口 / 車番 : い67
対応動力ユニット:BM-02 (使用するスペーサー:F2+B6+R7+L7)



= 特徴など =


基本的な構造はこれまでの製品を踏襲するものの、形態としては5面全て新規で製作されています。 側面窓ガラスは天井の裏でツメを付き合わせる形で構成、前後の窓パーツは既存品の流用です。
前面はセーフティーウインドがなく運賃幕が搭載された神奈中スタイル、中扉上の足元灯、出っ張ったバンパーなど各所特徴を再現しています。 車内の赤シートが懐かしいですね。



この製品最大の特徴は何と言っても長さでしょう。
従来製品はWB=4800mmの短尺仕様でしたが、何とビックリ、ほぼ新規製作となるWB=5300mmの標準尺でキッチリ製品化して来ました。 正直13弾エアロスターKが短尺で発売された当時、「神奈中の製品化は無いんだな…」と諦めておりましたが… これまで特注品でここまで手を入れて来たのは初ではないかと思います。嬉しい^^

シャシーは「C2006」と刻印がありますので、2007年に伊丹市交通局の限定セット(58MC)で初採用されたマフラー右出しタイプが使われているようです。 (※9弾58MCは4弾MP218製品の流用です)



従来製品で同じくセーフティーウインドが無い横浜市営と並べてみました。
窓下のパネルには運賃幕が表現され、それに伴い形態が異なる蓋も再現。 洗車等作業時のステップ代用とする為に張り出したバンパーももちろん再現されています。 個人的にはほーーんの僅か出っ張りが控え目な方が模型としてのバランスは良かったように感じますが、一応この車を模型化するにあたり現存する車を取材して来たとのお話でしたので、寸法的にはこれで合っているのでしょう。 曲面の取り方が僅かに違うのかなぁ ナンバーの出っ張りのせいなのか…

前面向かって右側ライトの上付近に銀色で │ ←のようなものが印刷されていますが、これは旗挿しだそうです。 すみません最初ゴミかと思った(汗 神奈中は祝日に日の丸を掲出しています。

== 以下豆 ==
ちなみに、この時期の神奈中バスは、前面窓中央の勘合にモノコック車然としたぶっといゴムが使われているのが特徴です(通常の車は接着剤を充填したような形態)。 バスコレ的には関係ない事ですが、この特徴は張り出しバンパーと共に初期のニューエアロスターにも採用されており、Kなら兎も角新型(ワンステにも)にぶっといゴムの組み合わせは地味にドン臭い特徴でした(汗 そこがまぁ神奈中の良さでもある訳ですが、地元に居ると見慣れているせいか案外気付き難い特徴かも知れません。 



前面が張り出しバンパーなら当然?リアも張り出しバンパー仕様が再現されています。 窓に印刷された冷房車マークも涙モノ。 惜しむらくはB35ボディー(ブルドッグ)時代から踏襲されている窓上部に設置された手摺の表現があれば萌えポイント増加だったのですが(汗 流石に窓パーツまでは手が回らなかったそうです。 さらに、リア回りの灯具類の形態も初物でして、短い手摺まで再現されています。



話ついでにエアロスターK製品のお尻バリエーションをおさらい。

: 柿種テール・ナンバー左オフセット・バンパー灯具類
   →13弾大阪市交通局 / [限定品]大阪市交通局オリジナルセット4

: 柿種テール・補助灯・後退灯・ナンバー右オフセット・バンパー灯具類
   →13弾横浜市交通局 / 13弾羽後交通 / 13弾富山地方鉄道 / 13弾ケース付属無塗装バス

: 角型テール・補助灯・ナンバー左オフセット・バンパー灯具類
   →13弾道北バス / 13弾京都市交通局

: 角型テール・補助灯(横向き)・ナンバー右オフセット・プーリーカバー上蓋・バンパー灯具類
   →13弾東京都交通局

: ベゼル付テール・後退灯・ナンバー右オフセット・バンパー反射板・ハッチヒンジ位置異
   →13弾静鉄ジャストライン

: 柿種テール・補助灯・ナンバー左オフセット・バンパー灯具類・張り出しバンパー・手摺短
   →[限定品]神奈川中央交通2

※A〜Fの呼称は便宜的に勝手に付けたものです。バスコレパーツ構成一覧表と合わせています。



セットの相方=ニューエアロスターではリア方向幕が裏面印刷ですが、エアロスターKでは従来通り表面印刷で表現されています。窓パーツはそのままなのでツメの影響で裏には印刷出来ません



今回の製品で一番格好悪いのは恐らくこのアングルでしょう。
お気付きの方も多いかと思いますが、方向幕が車体側に印刷→方向幕はガラスを通して実感的に見る筈が…… 意図は良いのですが、基本構造は13弾製品と変わっていない為隙間が空いて実感的ではありません。 これは不良でも設計ミスでもなく、元々13弾製品は方向幕を窓の表面に印刷する前提で設計された為、後の製品と同様の手法を単純に取るとこのようになってしまう訳です。 ステッカーなどでカスタムする方には窓に印刷されていない方が都合が良く、私も出来ればこうした構成にして欲しいと思う方ですが、このエアロスターKに関しては流石に無理がある気もします。

じゃぁ窓の裏に印刷すれば?〜とも思い付きますが、これは窓中央にある取り付け用のツメの存在によってかなり難しいと想像します。 仮に印刷手法がタンポ印刷ならば、印刷面に対しスタンプを水平に移動する距離が必要ですが、ツメの先端にある引っ掛かり部分がそれを邪魔しそうです。

車体の方が新規てんこ盛り故大人の事情的に力尽きた??〜お話を伺うと何となくそんな匂いを感じましたが、結果的に窓パーツは従来品を流用する事になったようです。 個人的には尺を変更してくれただけで全く不満は無いのですが、初めてバスコレを手に取る方や、製品が辿って来た流れを知らないと「んーーー」と感じてしまう部分かも知れませんね。



製品ベースで現行品と同じポリシーで表現するには、窓パーツのツメを端に移動させ、車体側の下辺を延長。 さらに、方向幕を印刷する部分だけ前に張り出すよう凸状にする必要があります。 車体表側は殆ど新規で起こしたのだからどうせなら〜とは思いますが、裏型の形状変更や窓ガラスの改修は私達が思うより多くの費用が掛かるのかも知れません。 今回はやむなしでしょう。

〜で、左に写る拙作都営バスでは、ツメを避けるような形の方向幕ステッカーを製作し、さらに車体に直接貼らず0.5mm程度のプラ板を噛まして取り付けています。 この方法はツメを残したまま違和感を緩和する考え方ですが、ツメを完全に見せたくない〜とするなら、やはり根本治療=ツメを削除してコンパウンドで磨く作業が追加されるでしょう。



都営バスと同じ手法で弄ってみた図。
これでもまだ若干ツメが見えてしまいますが、隙間も大分狭まりデフォルトに比べれば良くなったかと。



扉の表現も今風により細かく再現されています。 が、ちょっと窓四隅のRが大きい気がします。



どう云う訳か、エアロスターKほぼ全ての車体で屋根の二箇所にポツポツがあります。
最初は金型の傷?と思いましたが、妙に点対称に揃っているようにも見える事から、何かの都合でこうなっているのかな?とも。 ちょっとだけ気になります。



こちらは尿素水注入口が付いたバスコレ的には毎度お馴染みPKG-ボディーを使用。 新規に製作された運賃幕付き前面窓と、左側面の窓には箱根登山バスセットで使われたG288を改修の上組み合わせています。 UVカットガラスの色合いや濃さもまま良い感じではないでしょうか。 中扉上に設置されている足元灯は流石に弄られなかったようで、前回セットの96MCと同じく印刷で表現されています。

リアバンパーにはアイドリングストップのステッカーまで印刷済み。 最近のバスコレは細かい部分まで印刷済みで感嘆するばかりですが、今回中扉至近に印刷されたパスモ/スイカマークだけはステッカー対応だと嬉しかったかも。 横浜地区の車など、前乗りがデフォルトの地域に化かす場合「むむむ・・・」と。 何しろツボな人は多数購入されると思われるセットだけに、少し自由度を残しておいて欲しかった気もします。 足すのは簡単引くのは難儀…



運賃幕が表現された前面窓パーツを新規製作。 ほぼ神奈中専用パーツになるでしょうか。
贅沢なセットですね。



左側面の窓パーツも一部改修が施されています。
窓割り自体は箱根登山バスで初採用されたG288と同様ですが、方向幕の部分にモールドされていた窓さんの表現が削除されました。 以前の状態ですと神奈中のような小さな方向幕を採用する事業者向けには余計な表現となってしまいますが、この形態であればどちらにも対応出来るので助かります。
パーツ番号は共にG288ですので、仮に金型自体を改修したならば、窓さん付きは箱根登山バスだけの採用になるかも知れません。



うむ、これぞ普段着の神奈中バス!! 黒サッシ&UVカットガラス仕様はとっても格好良いのですが、長年見て来た神奈中のイメージからすると男前過ぎなのですよね(笑

銀サッシ化は15弾通常品の北海道中央バス又は神姫バスの側面窓と入れ替えればOKです。 さらに、方向幕部分の印刷を落としてステッカー等で小型タイプに置き換えれば完璧。  とはいえ、今から買えるかというとそうでも無い模様… いっそ銀に印刷された側面窓(方向幕は無印刷)と、工作向けに前面ガラスをセットした窓コンバージョンセット2両分で○○○円!なぞ企画して頂けると…(無謀ですね^^;

窓を捻出したボディーは、平塚や厚木に居る現行ワンロマ車に化かし、外した黒サッシをコンバートすれば部品のやり繰りも上手く収まりそうではあります。 工作しなくても…?? なかなかw



銀サッシなら、本当はKL-やPJ-ボディーの方がしっくり来るところですが、一応尿素水注入口が付いたPKG-も初期投入車(2007後〜2009前)は銀サッシ仕様で投入されております。
窓以外の外観は殆ど同じですので先ずはお手軽に入れ替えてみると良いかと思います。



動力ユニットへ取り付けがより簡単に。
今回両車共に前輪内側にテーパー加工が施され、車体中央の柱が撤去された動力ユニットフレンドリーになっています。 ほぼ新規製作のエアロスターKは兎も角、ニューエアロスターではこの仕様での製品化は初になります。(※ニューエアロスターに動力を組み込み際は窓ガラスの一部加工要)
対応する動力ユニットは「BM-02」です。



今回のセットで私が一番気になったのは車体の基本色でしょうか。
90周年記念セットの96MCとは全く色味が異なり、一緒に並べるにはちょっと躊躇します。

前回96MCの色はかなり黄色味が強く鮮やかで実車本位で見ると間違った色です。 対して今回の色は実車により近くなったのは確かなものの、ぱっと見た印象としては(私には)若干暗く感じてしまいました。 小スケールのミニチュアで感じる色の見え方の違いが少なからず影響している一例かなぁ、、ほんの一味余計な色が混ざっている気がします。

それ以前に〜〜(バスコレ全般に言える事ですが)こうして並べる事を考えると、同事業者間で余りにも製品毎に違う色で塗装されると困りますよね…



これはバスコレの価格・印刷工程の多さ〜その歩留まりを考えれば致し方ない事かも知れませんが、神奈中に限らず塗り分けの境界にタンポ印刷を追加する手法もそろそろ解決して欲しい部分です。 本製品では試作品よりもかなり目立たないよう調整されて来ましたが、やはりそこは高精度過ぎる人間の目、、、見えてしまうものは見えてしまいます。 ところが前回の96MCではそのような印刷が全く見えない。(形跡も無い) 似たような配色の製品でこの違いは何故なのでしょう?


、、とまぁうっかりいろいろ書いてしまいましたが、やっぱりこのセットの発売は嬉しさ一入。 お陰さまで大人買い大人気ない買いを敢行しまして、机上に並べては一人ニヤニヤしています。
大好きな事業者+この手の話が大好物な管理人故、ついつい駄話が長くなってしまいます(汗


= パッケージなど =


箱については手持ちのものは特に問題ありませんでした。
5台セット等でよく見るラップトップ(ベロ付き)タイプの箱は2台セットとしては初ですね。
今回はパッケージにも拘ったそうです。


■ 付属のステッカー ■

エアロスターK用
・前面運賃支払い方式表示幕
・側面乗降方式表示幕
・フロントバンパー掲出用 : バス共通カード取扱車 冷房車マーク(ペンギンマーク)
・方向幕
「横44 子供医療センター 関内駅・横浜駅」 「藤15 大六天 カントリークラブ・湘南ライフタウン」
「平38 トンネル・神奈川大学」

(ニュー)エアロスター用
・前面運賃支払い方式表示幕
・側面乗降方式表示幕
・前面前掛け 「このバスは中ドア乗車です。」
・リアガラス向け 「運転士募集中(黄色バージョン)」
・方向幕(LED表示)
「船11 桂台・上之」 「厚59 中荻原 三増・半原」 「町35 境川団地 山団センター・野津田車庫」


ありゃ、、妙にツボるポイントが多いなぁ(爆
ペンギンマークはこの世代のエアロスターKには使っていないと思われますが…(ん?

関連ページ : バスコレパーツ構成一覧表



= 番外 =


現在神奈中バス車内等で無料頒布されているプチ情報誌「くる〜ず」45号(2013年春版)にて、バスコレを含めたグッズについて触れられています。 乗車する機会があれば是非一つ^^



これで3杯は…^^

青い窓ガラスと変な箱が新鮮だった冷房車の登場。 B35が大量闊歩する中鮮烈なスタイルのエアロスターK見参! 路線バスに特別塗装なんてアリなの?〜初代ギャラリーバス(カナちゃん号)。 子供の頃に描いた理想のバス?デッカイ窓のニューエアロスター。 遂に神奈中にもデラックス路線バスキタ!〜スヌーピーバスデビュー〜その時々を彩った主役達を思い出します。 しかしそれだけでは物足りない。

普段良く見る一般車を製品化して頂けた事、、これは本当にあり難いです。 いざ工作しようと思った時何を選ぶか… 私の場合、どうしても目立つ車や一風変わった車を選ぶ傾向があり、そういった車の方が工作意欲が湧いて来るのも事実だったりします。 1台2台作れば満足する〜というのも、テンションを保ち易いという意味で作り易いのです。ですから、一般車を大量に作るというのは相当な気合と労力が必要になり、恐らくこのセットが無かったらこんな絵は実現出来なかったと思います。


次回もまた何か企画があることを願いつつ…


おしまい。






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